『雪のうた』
雪にちなんだ短歌のアンソロジー。
雪というのは、不思議。単に気象現象だし、多く降れば生活に支障を来たしたり、事故の原因になったりする。現にこの年末年始の東北日本海側では雪が災害になっています。
それでもなお、雪には幻想的な印象があり、美しいものと捉えます。世界を白に変えてしまう魔法、それが雪ですから。
頰の雪はらいてくれる指先をたとえば愛の温度と思う(俵万智)
雪が冷たいからこそ、指先の体温が際立つ。この体温を信じていいのか、雪に惑わされているだけなのか。雪のせいにして信じてしまえと心に言い聞かせる感情。雪ってこういう魔力がありますね。
遠くの雪国のニュースを見ているだけの我々も、いざこの地に雪が降ったら「ゆひら」と騒ぐのでしょうね。
体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ(穂村弘)
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