『廃市』
福永武彦の短編小説集。
「未来都市」ずいぶん実験的な小説と感じました。全ての人間が理想的で幸福な、完全で未来的な都市(国家)を描く。これって戦後日本から見た北朝鮮のことではないでしょうか。理想世界からの脱出と理想世界の小さな綻びからの破滅。完璧なものを避けて壊す、そういう挑戦的な小説でした。
「廃市」複雑に絡み合いながらなんとか維持できていたものが綻んでで壊れていく様子を作中主体はすぐ横で眺めているという物語。いや、すでに壊れていたことを確かめる過程を描いているのかもしれない。壊れゆくものは、美しい。
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