『痴人の愛』
戦前文学の代表作的な位置付けの文学作品だけど、未読だった。アニメ風の文庫本表紙が目に留まり、Kindleにダウンロード。
時代は大正時代。浅草のカフェエというのがどういうところか想像しにくいが、現代のカフェ(喫茶店)というより、パブやキャバレーというのをイメージした方がわかりやすいのだろうか。主人公がアラサーのエンジニアで、準主人公は15歳のカフェエの給仕、ナオミ。大正時代には身分差の概念も色濃かっただろうことも念頭に、読書を進めながらナオミ像を型作っていきます。
ナオミの愚かさに歯痒い思いをし、交友が広がることに冷や冷やする。そして行動が大胆になるにつれ、当初出会った時の立場は逆転していることに気付く。既に持続不可能な、今にも崩れ去りそうな危うい場所に立たされていることに気付くのだ。
関係が飽和し崩壊してからの心理描写がこの物語の見どころであり核心。自身に災いをもたらすものであっても、何ら幸福を与えてくれないものでも、もはや手放すことなどできなくなっている。嵌り、堕ちてゆくしかない。
心理を追うと重い小説ですが、エンタメ小説として軽く楽しむこともできる、そんな小説でした。
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