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2025年4月の7件の記事

2025.04.23

『日本美のこころ』

皇族・三笠宮家の彬子女王の著書。美術史家という専門性を持った視点と、皇族という特別な身分。そこから得られる体験を届けてくれる、極めて貴重な著書です。著者も立場を理解なさっていて、その上で丁寧で優しい言葉で綴られています。


御神宝から民芸まで、日本には様々な美術品があります。見た目が美しいもの、スピリチュアルなもの、生活に根付く美しさを持ったもの。彬子女王ならではの距離感から見た美術品の、その肌触りが文章から伝わってる来るようでした。


後半は消えゆく工芸分野の技能者を訪ねるエッセイ。ここも、皇族ならではのおおらかさと美術史家ならではの確かな眼によって書かれています。伝統文化をこうしなければいけないという自論を控え、ありのままの現実を描かれていることで、美しいエッセイになっていると感じました。

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2025.04.22

【USJ】

以前から気になっていたけど訪れる機会がなかったユニバーサルスタジオジャパンに。宝塚から丹波路快速で大阪に向かいます。車窓から見える六甲山を懐かしみながら。大阪環状線が和歌山行き。西九条に停まるのか自信がないまま乗車したら、次は福島。昔は快速通過駅だった記憶ですが、いつの間に。その次は西九条駅に停車してくれて、ひと安心。ゆめ咲線に乗り換えます。「桜島線」も客観的にはいい名前に思えますが桜島の地名は大阪の人には辺鄙な工場地帯の印象が強くて遊園地のイメージに合わないと考えたのでしょうか。沿線後継は学生時代には想像しなかった高層マンション街になっていて驚きました。 (写真は川西池田駅で見かけた工事車両) Img_2551 ユニバーサルシティ駅を降りたら、遊園地まで行く通りもすでにテーマパーク化しています。店舗はサイゼリアやびっくりドンキーといったどこにでもあるチェーン店ですが、建物の見せ方で遊園地への連続性を作っています。 Img_2553 遊園地内に入っても徹底して世界観を伝える建物群が迎えます。しんどいのが、常に何らかの効果音なり音楽を鳴らしていること。ムード作りに大切な要素なのでしょうが、これでは疲れてしまいます。ハリーポッターのゾーン、ジュラシックパークのゾーンを歩き、ジュラシックパークではたまたま待ち時間が短かったジェットコースターに乗りました。座るとうつ伏せの向きになり、頭側を前に進むという恐怖倍増な乗り物です。しかも回転あり捻りあり。若者には楽しいのでしょうけど、中高年には後悔です(自社比)。 Img_2591 ニューヨークエリアでピザを。ピザ、フライドポテト、ドリンクで2000円弱という観光地価格な食事ですが、店内装飾もこだわっていて、何より飲食客も外国人が多く異国情緒に溢れるレストランを堪能できました。ホールのピザを2人で分け合う欧米人客は、もしかしたらテーマパークの演出か? Img_2587 ニンテンドーエリアへ。8bitなBeep音をあちらこちらで鳴らしていて、装飾も凝っていて没入感があります。ミニステージに現れたピーチ姫は昔よみうりランドのステージで観たプリキュアのような滑稽さがありましたが、こちらは愛嬌で。 Img_2600 さて、帰路に。2日間仕事を休んだ残務を明日からキャッチアップしなきゃです。

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2025.04.21

万博

宝塚で目を覚まして、大阪関西万博に向かいます。大阪への行き方はいくつかありますが、電車のタイミングがよかった阪急今津線に乗りました。ゆっくりと武庫川を渡って、のんびりとした光景を縫って西宮北口に向かいます。列車の側面の行先案内は、いまだに幕方式。しかも「普通|西宮北口-宝塚」の固定表示です。今となってはなかなかレトロ。 Img_2467 梅田駅の9線頭端、JRをくぐるムービングウォークを堪能して御堂筋線、中央線と乗り継いで舞洲まで。中央線は万博に向かう客で混雑していました。舞洲駅は構内が広く、瞬発的な多客に対応している様子がわかります。大きな階段を地上に上がるとこちらも広い入場待機プール。ゲートも20近くあるで、夏休みや終盤の混雑時にも何とかできるのでしょう。ただ、入場券を管理するアプリはログインの度にメール認証を求められるなどQRコードを出すのに時間がかかる仕組み。セキュリティと利便性のバランスをどこに置くかだが、これはもっと利便性に寄せた方がいいのではと思います。 Img_2470 10時過ぎに入場したばかりの東ゲート土産物店は混雑しかけの状態。入場規制はかかっておらず、店内はすし詰めではないけど棚間で他の客とすれ違うのに気を使う、会計の列は店外まで伸びているけど10分くらいで会計が終わるような状態でした。お店を出る時には入場規制がかかっていたので、タイミングがよかったです。(写真左は入店待ちの行列、右は会計の行列) Img_2474 NTTのパビリオンへ。IOWNの大容量低レイテンシー通信技術を活用した映像展示ですが、展示では通信技術のすごさを感じることはあまりなく、3DのPerfumeの映像がすごかったな、くらい。シグネチャーパビリオンもひとつ選んで入りましたが、こちらも映像技術を楽しむもの。撮影した画像を即座に自動加工して表示する展示でしたが、この分野は日進月歩どころか秒進分歩くらいの速度で技術開発が進んでいるので、逆に2025年初頭の技術の足跡を残す意味があってよいかなと思います。 Img_2487 大屋根リング。屋根下から見上げると木材で組んだ柱、梁の迫力を感じることができます。エスカレーターで大屋根の上へ。リングの内側に視線を向けると万博会場を広く見渡すことができて、各国の独自のアピールが目に入ります。外側は…北港の物流施設群の眺めです。ここが大阪港の一部を成す舞洲だってことを思い出してしまいます。大屋根から見る大阪湾は、たくさんの船が見えます。体感では、東京湾より高密度。 Img_2494 気になったのが、会場内のトイレ。なんだか意識が高すぎて、よくわからないという印象。all genderの個室が並んでいて男女が個室ごとに列を作っている、裏面には女性が列を作っている状態。でall genderの個室を待っていたら左端にmen's urinalという入口があるのに気付きました。こちらは待ちがなくすぐ入れる状態。そういうことに対する説明が周辺に書かれていない。一般常識と違う仕組みを導入するなら、ちゃんと説明をするべきだと思うのですが。 Img_2514 飯田グループと大阪公立大学が共同出展しているパビリオンへ。未来都市ジオラマの展示ですが、ジオラマに潜むミャクミャクくん9体を探すイベントになってしまいました。8体までは見つけることができましたが、もう1体を見つけることができずにギブアップです。宝塚に戻り温泉に浸かって、お疲れさま。 Img_2526

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2025.04.19

『鍵』

伝えたいんだけど面と向かっては言えないこと。特殊な性癖に関わることなら、よけいにそうである。谷崎潤一郎の『鍵』は、熟年夫婦の往復書簡である。鍵を掛けた書棚にしまい込んだ日記という体裁を取りながら、相手に向けて記し続ける。現代ならSNSでもこのようなやりとりがあるかもしれません。特定の誰かに気づいてほしい、ツイッターの投稿に思い当たるものはありませんか。本書では、この隠し具合が、絶妙である。私はあなたの日記を読んではいないんだけど、日記を付けていることは知っているわと、こっそり日記に隠す。そして、読者は両方の日記を読むことになる。日記の暴露はひどい未来になるかもしれないし、実は既に読まれているのかもしれない。そんなどきどき感を、小説の読者は味わうことができます。

夫婦の間に登場する木村という男が、絶妙な立ち位置です。利用されているだけなのか、夫婦の葛藤を利用して成果を得るのか。いったい、大阪の家では何が繰り広げられているのか。

しかし、谷崎潤一郎の性癖の描き方はエグい。フェティシズムの権化みたいな人ですね。文才のあるエロ作家ほどたちの悪いものはありません。


感想を生成AIにも書いてもらいました。
谷崎潤一郎の小説『鍵』は、夫婦の秘密と欲望が綴られた二冊の日記を通して、愛と嫉妬、そしてエロティシズムを描いた作品です。物語が進むにつれて、登場人物たちの日記は単なる私的な記録ではなく、相手に「読ませるため」のものへと変化していきます。この構造は、現代のSNSにおける発信の在り方と深く重なるものがあると感じました。

SNSは一見、個人の本音や日常を気軽に発信できるツールのように見えますが、そこには常に「誰かに見られることを意識した自己演出」が存在しています。自分の感情や考えを正直に吐き出しているようでいて、実際には「どう見られるか」「どう評価されるか」という視点が無意識に入り込みます。『鍵』の中で、夫も妻も、日記に本音を書いているふりをしながら、実は相手の反応を計算して内容を操作しています。このように、本音のように見えるものが実は「演出された本音」である点で、日記とSNSは非常に似ています。

さらに興味深いのは、エロティシズムの表現における共通性です。『鍵』では、夫が妻の若々しい体を写真に撮ることで欲望を表現し、また妻も夫に自らの性的魅力を見せつけながら、別の男性との関係をほのめかすことで刺激を与えます。性的な欲望が、言葉だけでなく視覚的・間接的に表現され、互いを試す道具として機能しています。

これは現代のSNS、特にInstagramやX(旧Twitter)などでの「露出」や「セクシャルな自己表現」とも通じるものがあります。セクシーな写真や意味深な文章を投稿することによって、自分の魅力を示し、誰かの反応を引き出す――それは必ずしもストレートな告白ではなく、「見せつつ隠す」という倒錯的な欲望の形です。『鍵』の世界と同様に、現代のSNSでもエロティシズムは直接的ではなく、あくまで演出された形で漂っています。

また、SNSの投稿も『鍵』の日記と同様、「誰かに読まれること」を前提としているため、本音や性の表現は常に曖昧で、真実と虚構の境界が揺らいでいます。それがかえって想像力を刺激し、人間関係を複雑にしていくところも共通しています。

『鍵』は、個人の内面の奥深さと、人に見せる言葉の不確かさを巧みに描いた作品でした。そしてそれは、SNS時代を生きる私たちが直面している問題――自己表現の二面性や、欲望のコントロール――とも強く結びついています。日記もSNSも、一見すると「自分を語る」手段ですが、実際には「他者に見せる自分」を作る装置なのかもしれません。『鍵』を読んだことで、私たちが日々触れているSNSの投稿にも、より深い意味や意図が隠されているのではないかと考えるようになりました。


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新潮文庫サイト

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2025.04.17

姫路

東海道山陽新幹線で西に向かいます。数年前までは新幹線で新大阪駅を乗り越すことはなかったのだけど、ここしばらくは広島、門司、そしてこの姫路と毎年のように山陽新幹線まで乗り越している。伊丹市を横切る区間の周辺は、感慨深くなります。

姫路駅に到着する直前に姫路城の姿がちらっと見える。今日の目的地です。姫路城は姫路地区だけでなく播州地区最大の観光地とあり、姫路駅構内でも姫路城をアピールしています。写真は新幹線駅構内にある姫路城の模型。その複雑さを俯瞰することができます。
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駅を降りると、雨。4月中旬ですが、風が冷たいです。駅の正面から姫路城までまっすぐに広い道路がありますが、1本東側にはアーケード付き商店街もあります。雨模様なので、商店街を進みます。地方の商店街には珍しくほとんどの店舗は営業していて、往来もそこそこある、活気のある商店街です。しかし、並ぶ店舗はチェーン店が多く姫路らしい店舗は土産物店くらい。あと、個人経営のレコード店が3つくらいあったのが意外でした。写真は商店街で営業している個人経営らしき書店。
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商店街が切れると広場になっていて、桜と姫路城天守閣を望めます。桜にはもう遅いかと思っていましたが、広場の桜はまだ花が残っていて、桜と白鷺城の素晴らしい組み合わせを見ることができました。雨に濡れた手が冷たい風で悴むのを我慢しての城鑑賞です。
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広場の桜並木を見ながら、天守閣に近づいて行きます。駅で見た模型の通り、複雑な経路。敵の攻撃を防ぐのにはいいでしょうが、城下の武家屋敷から毎日通勤で登城する武士にはかなり酷だったのではないでしょうか。

天守閣に到着し、靴を脱いで建物の中に上がります。6層を階段で。途中の所々に多くの刀を掛ける場所がありました。天守閣は戰のためのもの、忘れがちな事実が、こんなところに現れています。天守閣には窓は少なく、所々に縦スリットの窓が空いています。この日はこの縦スリットから吹き込む風がとても冷たかったです。地上より体感で数度冷たい感じ。この春先ですらこの寒さ、年間を通じて城を守る武士は、過酷な勤務だったのではと思ってしまいました。
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山陽本線の新快速で神戸まで。舞子付近では瀬戸内海〜大阪湾を望めますが、海上の霧が濃く淡路島はほとんど見えませんでした。明石海峡大橋が霞に消えてゆく光景でした。三宮から阪急電車に。3扉ロングシートの座り方に戸惑います。どうやら10人掛けが正解らしいですが、各々好きな位置に座るしかないのではと思います。夕方に妹家族が住んでいる伊丹市の実家を訪れ、妹弟や姪たちと食事し、宿を取っている宝塚へ。宿は武庫川ビュー。武庫川を美しいと思う日があるんだと思いながら、夜の川を眺めて一日が終わりました。
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2025.04.04

『きみはだれかのどうでもいい人』

Audiobookで聴きました。県税事務所という小さな職場で、様々な立場の女性職員の視点で職場の人間関係を描きます。


全体的に、他人に対する悪意を感じる、心地の悪い物語でした。特に、弱者に対する容赦がない。自分が大変な立場にあるのに弱者に足を引っ張られたくないという思いがそこかしこに感じられます。著者のジェンダー意識が強いのかもしれません。


余裕を失っては幸福は訪れず、人間関係も円満にはいかなくなります。登場人物たちを反面教師に、余裕ある労働、生活を心掛けようと思います。


小学館サイト

https://www.shogakukan.co.jp/books/09407060

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『生成AIで世界はこう変わる』

2024年1月初版なので、ChatGPTブームが定着した頃の著書だろうか。一般人にはまだ玩具だった生成AIだったけど、早晩近いものになる道具に違いないと多くの人が思ってた頃だと思う。そんな頃の一般向け生成AI解説書のベストセラー。


前半はディープラーニングの基本原理。この辺りは将棋ソフトの解説書で読んできた内容の復習。きちんと基礎を理解しとかないとね。


中盤は生成AIが仕事などに及ぼす影響。この辺りはまだ社会における評価が揺れている時代の著書であり、著者の思いが強く現れている部分でもあると思います。AI研究者、AIを道具として使いこなす事務労働者、AIの支援を受けて働く事務労働者や現場労働者など、様々な人から見た新しい「道具」を見守りつつ、取り残されないようにしていきたいと思います。


後半にある創作物に関わるAIの立場は、なかなか難しい問題だということがわかりました。多くの人間の創作物を学んだAIが創作したものは誰のものか。創作する人間の権利や動機を守りつつ多くの人がAIを使って創作するには。落とし所を探っていきたいところです。

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