『瘋癲老人日記』
常時介護が必要な老人の日記の体裁をとっている谷崎潤一郎の小説です。息子の妻である颯子に対するフェティシズムを徐々に増幅させてゆく展開が特異であり印象的です。フェチ欲を満たすための仕掛けが、なかなかに大掛かり。富豪の老人を主人公にしていることで夢の規模が大きくなり、読者をより楽しませる構成になっている。
颯子の魔性の度合いが読みきれないのもこの小説の魅力なのかもしれません。老人が颯子の魔性を読みきれないもどかしさを、読者と共有しているのかもしれません。颯子が主人公の老人をどこまで許容しているのかも読み取れない。告白していいか悩んでいる若者みたいな感覚を老人の日記から感じるのも面白いところです。
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