« 2025年6月 | トップページ | 2025年8月 »

2025年7月の4件の記事

2025.07.26

中野信子「エレガントな毒の吐き方」

京都人らしいやんわりとしたものの断り方を学べる本かと思い手に取りましたが、そうでもなかった。詠んでみると、例文はけっこう直球で嫌味を言っているものばかりでした。あるいは、関東の人にとってはこれらの例文がやんわりと見えるのかもしれません。そうだとすれば、東西文化は思った以上に差があるのかもしれません。
最近の京都は洛中は観光客で溢れ、洛外は大阪の郊外と一体化しています。そのため、一昔前の京都の雰囲気も失われているのかもしれません。そんななか、京都人に対するステレオタイプだけは強くなるという。移りゆく京都文化の一断面を切り取った記録として、京都ディスり本と並べておくのがよさそうです。

日経BP

| | コメント (0)

俵万智「生きる言葉」

俵万智は数少ない専業歌人だと思います。だからこそ、言葉に向き合って生きている。言葉に向き合うために、ちょっと普通ではない環境に身を置いているとも感じます。そんな著者が触れている言葉に対して思うところを連ねたエッセイ本です。
書いてあることは多岐に広がっていますが、面白かったのはクソリプ分析。「それぞれの家の洗剤の匂いして汗ばんでゆく子らのTシャツ」という歌に思いがけないクソリプが付いたこと(ちなみに「洗剤の香りの歌をつぶやけば「香害」についてリプライがくる」という返歌まであります。)をきっかけにした分析です。クソリプは言葉のほんの断面でしかないけれど、その言葉の断面が語られる背景を想像したうえで放置する様が痛快です。言葉を操るプロだからこそのクソリプ考察だと思います。
最終章「言葉や疑うに値する」では、短歌を作るにあたっての技法を語ってくれています。情報量ではなく言葉の濃度。これは意識して作歌に取り組むべきですね。


新潮社

| | コメント (0)

2025.07.13

河井案里『天国と地獄 選挙と金、 逮捕と裁判の本当の話』

広島じゅうの地方議会を巻き込んだ河井夫妻大規模贈賄事件の首謀者の一人、妻の河井案里による事件への反省を書いたエッセイです。

正直、このエッセイを出版した目的が見いだせません。

まず、表紙。政治の裏を告発するにしても、司法取引を暴こうとするにも、あまりにも舐めた表紙です。不思議なうさぎの絵。しかも、本書内の挿絵にも不思議なうさぎの絵はたくさん出てきます。良識の府である参議院の議員を務めた著者として、あまりに不似合いです。「私はバカなので、何もわからないのに逮捕起訴するなんて!」っていうメッセージに読めてしまいます。

そして、陣中見舞いや自民党のやり方など、法律がよくわからないけどみんなやっているとおりに自分もやってみたら、なぜだか逮捕されちゃった体で書かれています。こちらも、議員に立候補するなら知っておくか、行為の適法性を確認する手段を設けるべきところが、できていなかったことになります。こういう場合、何を怠ってしまったのかを反省し、整理して著作に落とすべきだとは思うのですが、それができていないことに不満が残ります。(まあ、別にミスをしてしまった取引先の報告書を読むのではないので、目くじらを立てるほどのことではないのですが。)

なんとなく、モヤモヤとしてしまう著作でした。

さて、来週は参議院選挙です。逮捕されていなかったら、著者は今回も現職として立候補していたんだろうなぁ。

97843440444329784344044432

| | コメント (0)

2025.07.03

堀辰雄『風立ちぬ』

Audio Bookで聴きました。ひなたたまりというアニメ声優の声で聴いたため、少し混乱です。主人公と婚約者の節子が主な登場人物ですが、主人公視点のセリフを女性声優が話すため、途中でシチュエーションを勘違いしてしまいます。


サナトリウムに入院する婚約者と、付き添う主人公。そこに明るい未来はないはずなんだけど、美しい時間として描きます。萌え声の声優の朗読なので、余計に暗さは感じません。あるいは、死が近づいているとは思わず生きることを信じている節子の思いがそうさせるのか。

https://audiobook.jp/audiobook/154863?utm_source=appshare&utm_medium=app&utm_campaign=appshare-ios

Image_20250703175201

| | コメント (0)

« 2025年6月 | トップページ | 2025年8月 »