俵万智「生きる言葉」
俵万智は数少ない専業歌人だと思います。だからこそ、言葉に向き合って生きている。言葉に向き合うために、ちょっと普通ではない環境に身を置いているとも感じます。そんな著者が触れている言葉に対して思うところを連ねたエッセイ本です。
書いてあることは多岐に広がっていますが、面白かったのはクソリプ分析。「それぞれの家の洗剤の匂いして汗ばんでゆく子らのTシャツ」という歌に思いがけないクソリプが付いたこと(ちなみに「洗剤の香りの歌をつぶやけば「香害」についてリプライがくる」という返歌まであります。)をきっかけにした分析です。クソリプは言葉のほんの断面でしかないけれど、その言葉の断面が語られる背景を想像したうえで放置する様が痛快です。言葉を操るプロだからこそのクソリプ考察だと思います。
最終章「言葉や疑うに値する」では、短歌を作るにあたっての技法を語ってくれています。情報量ではなく言葉の濃度。これは意識して作歌に取り組むべきですね。
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