目覚めてから朝食まで時間があるので、少し散歩に行くことに。ホテルのロビーにおすすめ散歩スポットとしてポスターが貼ってあった「お湯かけ地蔵」に向かうことに。宍道湖北岸を歩いていきます。宍道湖岸はジョギングをしている人が多い印象です。市役所からしじみ館あたりまでは湖岸の公園が改修工事中で、仮囲いのあるただの県道を歩きます。この道路の北側は温泉旅館街。昭和時代に地下から掘り出した温泉が、街の雰囲気を一変したのだと想像します。その温泉組み上げ設備がこれ。写真手前は温泉卵を作ることができる水槽があります。この裏に、お湯かけ地蔵が設置されています。

帰路は一畑電鉄沿いに松江しんじ湖温泉駅まで。温泉街ができるまでは、このあたりが湖岸だったはずです。ホテルに帰って朝食。窓に向いた席に座ることができました。眼下の宍道湖ではしじみ漁の漁船がたくさん出て、長い棒を湖に突き刺しています。

今日は出雲大社への参拝をしようと、再び松江しんじ湖温泉駅へ。朝とは経路を変えて、京橋川沿いを歩きます。京橋川の南側は商人町だったので、間口の狭い建物が多く独特の風情です。写真は筋違橋。路面は舗装ですが、木造にして堀川の雰囲気を残しています。道路がクランクになっているのは松江城構築の際の軍事的な観点からです。

松江しんじ湖温泉駅から一畑電鉄。ローカル路線そのものって感じの電車です。オレンジ色の電車が目を引きますが、この形って少し昔の東急電車ですよね。

車窓からは宍道湖。園駅辺りまで、左車窓に見えたり見えなかったりが続きます。一畑口はスイッチバックの駅で、ここから前後左右が入れ替わります。川跡駅で、乗り換え。この駅は松江方面、出雲市方面、大社方面からの3本の電車がいったん集結し、全部揃ってから各方面に出発するという乗り換え方式です。本数の少ないローカル私鉄ですので、いずれの方面からの乗客にも不便をかけることなく運行する工夫がされています。学生時代に出雲を訪れたときはこの仕組みが時刻表から読み取れず、乗り換え可否を一畑電鉄にわざわざ電話して聞いたことがあります。

川跡からの大社線は京王の車両。内装はボックスシート主体の独特のレイアウトです。ちなみにテーブルにドリンクホルダーがありますが、一畑電鉄の線路は精度が低く電車の揺れが大きいため、ドリンクホルダーはあまりあてにならないように思います。

一畑電鉄出雲大社前駅は素敵なドーム天井。照明やステンドガラスもすてき。

出雲大社へ。境内が広く、鳥居をくぐってからの神域の面積が広いです。しかも、起伏がある。いったん谷へ降り、川を渡ってから拝殿に登っていく地形です。地形をさらに細かく見ると、小さな川(吉野川と素鷲川)の間に社殿があり、その2本の川は浄の池付近で合流していることがわかります。拝殿。大胆な大社造りの拝殿です。大社なんだから、あたりまえなのですが。壁に阻まれて高床の状態が目視できないのが残念。しかし、地面から高いところにある分厚い屋根はとても迫力があります。絵馬掛けを眺めていたら「感謝の使い手になる」というのがありました。祈りではなく宣言。しかも、なかなかにくい宣言です。感謝、大切です。僕も使い手にならなければ。

出雲大社から西に1kmほどのところにある稲佐の浜へ。砂浜にぽつんと岩があり、信仰の対象となる理由がわかります。この場所は島根半島西端の山岳地帯と出雲平野西端の平坦な場所との境目近くにあり、きっと島根半島に取り残された岩なんだと思います。鳥居が設置され、沢山の人が参拝に訪れます。

稲佐の浜の近くにある因佐神社へ。ここは小さいなが大社造りなのが面白いと思いました。国譲り伝説において天照大神から遣わされ建御名方神と交渉した建御雷神が祀られています。神話の話ではありますが、大和政権が出雲政権(というものがあったか?)を従え大きくなる過程の話かもしれません。とすると、古代日本のかなり重要な人物かもしれません。

ここから日御碕に行こうと思いましたが、次のバスまで時間があります。ちょうど、稲佐の浜の弁天様が見える場所に屋根付きのベンチがあったので、そこで休憩。本を読みながらですが稲佐の浜を訪れる人を眺め、それぞれの人がそれぞれの浜の楽しみ方、祈り方をしているんだと思いました。

バスに乗って、日御碕へ。急峻な海岸の崖を縫うように走るバスです。左側には海と、侵食奇岩たち。日御碕神社は朱が映える神社。朱色を使わない出雲大社との比較も面白いですね。ここは日没を祀る神社。ちなみに、日の出を祀るのは伊勢神宮とのこと。出雲から伊勢が当時の日本の範囲だったのでしょうか。建御名方神が逃げた諏訪は、もっと東ですけれど。

歩いて日御碕灯台まで。灯台に登れるのですが、急な螺旋階段をたくさん登るため、なかなか厳しいです。それでも、登った後に見ることができる日本海の光景は、苦労のし甲斐がありました。日御碕から出雲大社方面に向かうバスの乗客の多くはうとうとしていました。みんな、灯台登り疲れかな?

出雲バスターミナルで出雲そばを注文。小さな椀が3段重ねになっていて、一番上の段を食べ終わったらつゆを2段目に移して2段めを食べるという変わった食べ方が推奨されます。一畑電鉄が出るまでの時間調整で路地裏のカフェに。若い人に人気のありそうな、シンプルなデザインに和風を取り入れた店内。店内も若い女性で埋まっています。シングルオリジンのエチオピアコーヒーを頼んだけどそれほど主張はなく、ほのかに甘い香りがするコーヒーでした。具体的な銘柄が気になるところ。

斐伊川にかかる沈下橋「井上橋」に向かいます。観光地でもなんでもなくほとんど紹介もされていないので、たどり着けるかちょっと不安。地図で最寄りと見定めた川跡駅で下車します。東に向かって集落を歩き、堤防を登ったら、斐伊川。堤防から見ると、河川敷より集落の標高が圧倒的に低いことがわかります。天井川です。こちらが井上橋。欄干がなく橋脚も低い沈下橋。

沈下橋は水面も近く、川の様子がよくわかります。川は浅く、たくさんの砂州ができています。川の砂州がこれだけたくさんできている川は見たことがありません。独特の眺めです。浅い分、水流は思った以上に早め。それでも流量はそれほど多くないのでしょう。この大量の砂が中国山地から流れ込み、出雲平野を形作ったのでしょう。斐伊川下流の宍道湖もこの砂が流れ込んで、その砂にしじみが生息しているのだと思います。

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川跡駅まで戻り、一畑電鉄に乗車。まだ時間あるので、沿線で市街地が広がっていそうな雲州平田駅で途中下車します。駅舎に降りて地図などを探すと「木綿街道」が観光スポットのよう。歩いて10分くらいっぽいので、歩いてみることに。伝統的な町並みを残した地区です。その中の一つに造り酒屋があり、覗いてみると利き酒体験1,000円というのがありました。ヤマサン正宗という平田のお酒の3種をおちょこ一杯ずつ飲めるというものです。誘一献は日本酒の甘さがなくスッキリしていて、後味に苦みが追ってくる独特なものでした。佐香錦は柔らかくまろやかで、日本酒のパンチを消した不思議な食感です。出雲神庭は華やかな香りが特徴です。

松江まで戻ります。そろそろ夕方。ホテルに帰る前に途中の居酒屋で夕食を済ませます。5人のカウンターと座敷席という小さな居酒屋に入り、カウンターに通されます。他に一人客が2名。女将さんが話し上手で、うまく僕を含めた3人の話の輪を作ります。楽しい(ほぼ宴会のような)夕食を済ませ、ホテルに戻りました。

27,692歩