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2025.10.26

『運慶 祈りの空間 - 興福寺北円堂』

東京国立博物館で開催されている運慶展に行ってきました。タイトルに人気仏師の運慶を押し出していますが、弥勒如来坐像の修理完成を機会に北円堂3像と四天王像の展覧会、受けを狙わなかったら興福寺北円堂がメインタイトルになっていたはずの展覧会です。

北円堂の本尊の弥勒如来、脇仏の位置にある無著(むじゃく)菩薩と世親(せしん)菩薩、四天王立像のいずれも国宝の7体だけの、かなり割り切った展覧会です。八角系の北円堂の内部を模して弥勒・無著・世親を中央に置き、四方に四天王を置く大胆なレイアウト。東京に居ながら、空間を満喫できる展示でした。そして、各像を四方どの角度からでも鑑賞できる、弥勒に至っては後背すら取り外した状態での展示で全方位から観客が取り囲みます。少し遠巻きに、観客が像を囲んで見惚れるのを見るのも面白かったり。

四天王は想像以上に肉付きがよい。広目天や多聞天はひねった腰の余分な脂肪が浮いているところまで表現されています。そんな豊かな身体付きの四天王ですが、手の描写が力強い。握手したらこちらが潰されてしまいそうな固そうな指と、手の甲に浮き出た血管。多聞天の宝塔だけを見つめる視線。たった一つのものを全力で守る意気が伝わります。

中央に配置された弥勒如来は四天王に比べて圧倒的に穏やか。56億7千万年の悟りののちの表情は誰も敵いません。指もしなやか。ただ黙ってこの印相で守ってもらいたい。そう思わせる運慶の作品をすてきな空間で楽しみました。


東京国立博物館

https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2706

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