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2025.11.09

『サイコパスから見た世界』デイヴィッド・ギレスピー著/栗木さつき訳

以前の職場で、サイコパスへの対応に苦労したことが何度かあります。最も苦労したのは従来から悪名高い従業員の異動受け入れがあったことです。産休・育休明けの社員復帰を産休前の部署が要員充足を理由に断ったことから悲劇が始まりました。復職を断る本当の理由がその社員の扱いが面倒だからというのは誰の目にも明らかでしたが、人事が元職場での復職謝絶を受け入れて僕の職場への復職を決めてしまいました。これで、僕の苦悩が決まってしまいました。わがままなシフト希望や仕事の選り好みなど、職場での彼女の振る舞いは目に余るものがありました。他の従業員とのバランス(当時は育児中の女性への支援策に対する独身中高年女性の反発も強かったこともありましたが)を取るために彼女の希望を断ることも多々でしたが、僕の不在時に部署やフロアで大声で僕への不満を言い回っていると周囲から報告を受けました。(彼女は本書のジャスミンほど狡猾ではなく直属の上司である僕と課内くらいにしか視野が広がっていなかったのではないかと思います。)彼女に関するエピソードは尽きず、彼女への対応で僕は精神的にかなり衰弱してしまいました。同時期に他の従業員の疾患、休職もあり、被害は僕だけでなかったと言えるでしょう。対応策に困った僕が人事に相談するも、部署内で対処すべき問題であり、会社としては関与しない、カウンセリングの提供なども行わないとの一本槍で逃走の姿勢を崩しませんでした。そうして、事態は改善することなく時間ばかりが過ぎていきました。最終的に人事は問題を解消することでの対応ではなく、問題が発生する場所を変えるだけの対応を取り、僕はこの問題への対処から逃れることができました。この頃はサイコパスとはそもそも関わるるべきでないという知識もなく、上司である以上はこの問題に取り組まざるを得ないという責任を感じていました。本書を読んでから当時のことを思い起こすと、当時の対応がよくなかったことがわかります。こうなったら会社のためとか周囲のためとかは放っておき、自らの身を守ることを最優先に考えなければならなかったのですね。決定的なのは、サイコパスは決して治ることがないということ。僕は決して治らないものに対して改善の幻想を見ていました。本書に書いてある内容を予め知っていれば、当時の僕の対応は大きく変わっていたことでしょう。
別視点で本書で考えさせられたことがあります。こちらは自分自身のこと。本当は、自分には人に共感する能力なんて持っていなくて、共感すべき状況と共感の仕方を後天的に学んだだけではないかということ。実は自分はサイコパスなんだけど、そうであると社会生活に不便が生じることを過去に学んでいて(本書に出てくる本物のサイコパスはそんな学びをすることはできませんが)、単に学んだ通りに反応することで本当の自分を隠して生きているような気がして怖く感じてしまいました。本書を読んだ他の人たちは、この視点ではどのように思っているのかがとても気になります。
ところで、著者はかなりドナルド・トランプ嫌いですね。「そのウソのなかには〜メラニア・トランプは史上もっとも人気のあるファースト・レディである、などが含まれる」という文章に吹きそうになってしまいそうでした。そこは主観的な要素が大きく、それをウソと断言するのは相当トランプ嫌いじゃないとできないですよね。
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