『原色の街・驟雨』吉行淳之介
4編の短編小説が収められています。
原色の街
墨田区の赤線街の娼館に身を置く主人公あけみの物語。自ら望んで娼館に身を置いた矜持を持っているものの、選んだ居場所に確信が持てず心が浮遊する。客に恋愛感情を持たず性感も感ずることなく娼婦の仕事を淡々とこなしているうちは、何でもない日々である。しかし、密室で肌を合わせるという危険な行為は心に直接作用する。何に寄り添い、何から逃げるべきか。もどかしいほどに、揺れる。
驟雨
原色の街に続いて娼婦との物語。原色の街では客の男が娼婦の心をコントロールしている書き方だったが、驟雨では娼婦が客の心をコントロールしている。多くの恋を持つ娼婦への嫉妬と孤独に押されながら茹で蟹を食う。突然の雨に、ゆっくりと世界は崩壊していく。
夏の休暇
母を家に残して、父と父の愛人と旅行に行く短編。そんな艶かしいシチュエーションは子どもにとって退屈なもの。しかしうすうす感じる破滅的なシチュエーションは、強烈な印象を子どもの心に刻みます。。
漂う部屋
結核病棟、死に至る可能性がある病を患い世間から隔絶された人間たちの物語。実際には、死ぬ者もいれば、死からは遠い者、社会復帰の見込みがある者ない者、手術前手術後、様々な人間が隔絶された世界に詰め込まれている。束の間の人間関係だが重い人間関係の形成となる。その中で人間観察をし、自分自身はどのように振る舞うかを考える時間でした。
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