富山県文学史
富山県の文学館で主要なのは「富山県立高志の国文学館」と「高岡市万葉歴史館」でしょうか。高志の国とは、越前、加賀、能登、越中、越後(現在の福井県、石川県、富山県、新潟県)の大化の改新頃までの地域名でとても広大な地域を指しますが、高志の国文学館は富山県立博物館であり、取り上げるのも富山県です。
富山県の文学史で非常に重要な地位を占めるのが、奈良時代の歌人である大伴家持です。万葉集に非常に多くの和歌を残す歌人なのですが、その多くが越中国司として伏木に赴任した5年間の和歌。そのため、越中文学と大伴家持を切り離すことはできません。しかし、古代から近世にかけて、大伴家持以外に越中の文学が発展しなかったことも、高志の国文学館、万葉歴史館の展示の裏返しとして知ることになります。翌々考えたら、日本の古典文学のほとんどは京都で作られ、近世もほとんどが江戸か上方で作られたものなのですね。地方都市の文学史は難しいものがあります。大伴家持は奈良から突如現れたスーパースターなわけです。
近代になると、富山県出身の作家が現れます。しかし、富山県ゆかりの作家が富山在住のまま創作活動をしたわけでなく、東京に移住して創作活動を行っている事実もあります。まだ、地方都市からの文学発信は難しいのでしょうか。文学館の館長を務める室井滋さんも、滑川出身東京在住ですね。
私の故郷(兵庫県伊丹市中野)の郷土作家と思っていた宮本輝が郷土作家として高志の国文学館で展示してあることに驚き、そのあと納得しました。旅の行先に富山を選んだのは宮本輝『潮音』で越中富山の売薬人が描かれていたからですし、螢川の舞台も富山。文学館の説明を見ると、宮本輝は神戸出身であるものの小学生の一時期を富山で暮らしていて、富山ゆかりの作家なんですね。
高志の国文学館は旧富山県知事公舎跡地の博物館。庭も美しい。

高岡市万葉資料館は伏木の勝興寺から少し山側に入った伏木を見渡せる丘の上にあります。

| 固定リンク


コメント