カテゴリー「時事・社会」の41件の記事

2019.11.01

災害救助用ヘリコプター共同購入という投資勧誘電話


休みの平日午後に自宅固定電話が鳴った。

・災害救助用ヘリコプターの重要性が注視されている

・当社は投資家の支援で災害救助用ヘリコプターを保有し、さらに配置を増やす計画である

・投資家には1口1百万円の投資を募っている

・平時は輸送用に用い料金を得て、投資家には1口6千円の配当をする

ということで、興味があればパンフレットを郵送したいとのこと。

私の電話番号の入手先を問い合わせたところ、対応が女性のオペレータから男性の担当者に替わりました。同じ質問をすると、

・名簿は古く入手先特定は困難

・個人情報保護法施行以前に入手した名簿であるため違法ではない

・担当、オペレータとも委託先の人間である

・名簿を所持しているのは委託先(コールセンター)であり、委託元(ヘリコプター会社)は名簿を所持していない


とりあえず委託先の委託元の社名と連絡先を聞くことでプレッシャーだけかけておきました。


これが、個人情報保護法、金融商品取引法あたりで合法なのかどうか非常に気になります。

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2019.02.04

横浜地裁に行ってみた



何度か東京地裁に傍聴に行ってますが、自分ちの管轄である横浜地裁って行ったことないなと、ふと。

電車を乗り継ぎ横浜地裁に行ってきました。朝8時半に家を出れば10時開廷の期日に余裕だろと思ってたら、日本大通り駅に着いたのが9時50分。10時開廷に間に合わないと面倒なんだよなと早歩きで地裁に。

開廷情報は1階ロビーに紙が掲示してあるだけ。検索機で検索する東京地裁とは随分と違います。東京は企業関係の訴訟も多く、高裁も兼ねているから設備も違うんでしょうかね。(もっと地方に行ったら、どうなんだろう?)

細々とした訴訟が連続で行われる法廷に。今回は建物明渡訴訟が多いイメージ。一つは原告がURで被告が一般男性の訴訟。こちらは裁判官が和解を持ち掛け、原告被告とも応じる意向。男性が継続して居住したい意思を持っているようで、未納賃料の弁済方法を詰めて和解することになりそう。

別の建物明渡請求訴訟(被告は出頭せず)では、被告からの連絡を裁判所も原告も受けていないものの9月〜1月までの賃料の入金があったため訴状の一部を減縮するというのがありました。これで賃料が全部支払われてるんだから、訴訟となる原因がなくなったんでは?と思うのですが…これは訴状を見てみたい一件。

原告が日本学生支援機構、被告が一般女性という訴訟がありました。こちらは既に和解案が出ていての期日で、209万円(元金169万円+遅延損害金38万円+α)を平成50年までの9,000円231回払いという和解が成立しました。あと20年もの超長期の分割払いに驚きましたが、奨学金の返済なので元々が長い弁済計画だったのを延滞したので遅延損害金込みで仕切り直したと考えるのが妥当なんでしょうね。

原告が個人で被告が国の、損害賠償請求訴訟がありました。原告席は1人、被告席は13人というパイプ椅子裁判。前に座った3人が代理人弁護士で後ろの10人が役人かなあ。そもそも国って代理人を立てるんだろうか?傍聴では何を争ってるのかわかりませんでした。騒音に関する技術資料の理解に時間がかかる旨を裁判官が話していたので、たぶん騒音被害絡みなんでしょう。

原告が個人事業主の個人、被告が横浜市という訴訟がありました。事件名は失念。カイロプラクティックが地方税法でいう請負契約に当たるかが争点らしく、裁判所が被告の市に対し法律構成を解釈を求めていました。

11時に殺人事件(裁判員裁判)の初公判があったのですが、こちらは満席で傍聴できず。横浜地裁も人気の事件には人が集まるんですね。

最後に傍聴したのが、銅線返還等請求事件。なんだかわからない事件名。どうやらキュービクルの撤去工事に伴い持ち去ったはずの銅線を返してくれっていう訴訟らしい。原告が本人訴訟っぽく、法律構成が明確でないとの裁判官のお小言。他人物売買の解除か、寄託物返還請求かとのことで原告は寄託物返還請求であると回答。しかし持ち去った銅線は現存しないとの被告の話から、仮に原告勝訴しても強制執行が不可との裁判官の話があり、予備的請求の損害賠償請求にならないか?との裁判官の質問にウヤムヤで終わっちゃいました。被告代理人が「現場でシミズさんの言ったことの信憑性がそもそも怪しいので、キュービクルの仕様書を調べてほしい。」と原告に要求。これらのことから推測するに、撤去工事の際にシミズさんが「このキュービクルなら銅線が300キロあるで」と言ったので、じゃあ300キロの銅線を返せよ!と言っている、というところでしょうか。みなさん、現場で出まかせにヘタなこと言うもんじゃありませんね。

帰りに通った赤レンガは、随分と賑わっていました。


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2015.11.04

郵政3社の初値

郵政3社が上場しました。ニュースでは公募価格より高い初値が話題になっています。

ところで、この高い「初値」っていいことなの?ってのが気になっています。

本来なら、初値の値段で売却できた株式を、それより安い公募価格で投資家に販売してしまったんですよね、国庫が。本来なら国庫に収入計上されて社会福祉に使うべきお金が、IPO狙いの投資家の懐に入ってしまったと捉えることもできるのではないでしょうか。

日本郵政:396,000,000株、公募1,400円、初値1,631円で差額総額91,476,000,000円

ゆうちょ銀行:329,953,800株、公募1,450円、初値1,680円で差額総額75,889,374,000円

かんぽ生命保険:52,800,000株、公募2,200円、初値2,929円で差額総額38,491,200,000円

差額総額合計205,856,574,000円。

まあ、2千億円くらいなら、仕方ないのかなぁ。(あの国立競技場は2520億円で大騒動になりましたね。)

公募価格割れとかなら株式市場のイメージが悪くなり、株価下落を引き起こしかねないですから、多少公募価格を低めに誘導するのはやむを得ないんでしょうけど。

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2014.09.08

クレジットカードのデフォルト支払い方法がリボなのは妥当なのか?

訳あってクレジットカードの申込み。(会員組織にクレジットカードを使うところが多いですね。)

申込書を書いていて気付いたのが、デフォルトの支払い方法が月々10,000円のリボ払いになっていること。しかも、一回払いへの変更は書類ではなくネット上での手続きです。




カード会社としては少しでもリボ払い手数料を稼ぎたいのでしょうが、このやり方はあまりにもヒドイと感じます。世の中のカード事情はこんなものなのでしょうか。

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2014.01.30

不動産登記情報を元にDMを送るのはアリなのか?

自宅マンションの集合ポストにたくさん投函されている不動産業者の広告。ほとんどは郵送ではなくポストインなのですが、郵便で届いているものがあることに気付きました。今まで連絡などしたことのない不動産業者です。

何でDMを送ってくるんだ?と思いチラシの裏を見てみました。



この下の方に「個人情報のお取扱いについて」があります。

で、



DM送付先のソースが不動産登記情報であることが明記されています。

不動産登記は資産の権利関係を明確にするために公開されているのですが、DM送付の目的で公開されているわけではないと思うのです。これって個人情報の目的外取得・目的外利用なんじゃないかな…

経済産業相が出している「不動産業における個人情報保護のあり方に関する研究会」報告にも「不動産登記簿や固定資産 課税台帳に記載されている情報は個人情報であり、これらの個人情報を取得した場 合には利用目的の公表や本人への通知が必要である。」とあるのですが、本人への通知があったようには思えません。

何にせよ、もうちょっと節操をもって広告宣伝活動をやってもらいたいものです。

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ギリシャヨーグルト

英語ニュースサイトを見ていたら、こんな記事がありました。

Chobani loses 'Greek yogurt' legal battle in UK

アメリカ製のギリシャヨーグルトはギリシャ製でないのでイギリスではギリシャヨーグルトって言っちゃいけないということです。

それじゃ、米国の「ハンバーガー」のブランドや、街の「中華そば」、チェーン店の「讃岐うどん」あたりもかなり問題になりそうな…

それはそうと「Greek Yogurt(ギリシャヨーグルト)」って何?と調べると、日本でもギリシャヨーグルトを名乗る製品が見つかりました。

森永パルテノ

首都圏のコンビニと一部量販店で販売とのことで、さっそくはるひ野駅前のローソンで購入。

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フタの上に「アルゼンチン産ハチミツ」が乗っている豪華パッケージ。価格は普通のヨーグルトの倍くらいです。

さて、原産地表示は…

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東大和市の工場で作っている「日本産」ギリシャヨーグルトらしいです。
でも、
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ギリシャのメーカーからのライセンス供与でイギリスのような事態になることを回避しているようですね。

さあ、食べてみましょう。
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スプーンにくっつくくらいの粘度です。ヨーグルトとクリームチーズの中間くらいの乳製品というイメージです。そのまま食べるとやや酸っぱいものの爽やかな口当たりです。せっかくなので「アルゼンチン産はちみつ」をかけてみると…味がすっかりアルゼンチン産はちみつの香りだけになってしまいました。このはちみつはかなり香りが強いもの。何の蜜がメインなのか、とっても気になりました。

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2013.11.16

国内産農産物と輸入農産物の基準は違うのか?

妻が、輸入鶏肉は抗生物質が残留しているので避けたいと言っていました。

・輸入鶏肉は出荷直前まで抗生物質入りの飼料を食べている
・国産鶏肉は出荷一週間前から抗生物質なしの飼料を食べている
と聞いたことがあるとのことでした。

さて、この話の信憑性は?

探してみたのですが、参考になったのはこの2つの資料
(1) 残留農薬等ポジティブリスト制度について - 公益財団法人 日本食品化学研究振興財団
(2) ブロイラーにおける一般的衛生管理マニュアル - 農林水産省 農場HACCP

(1)の残留農薬基準は適用範囲が記載されていないので、国内産品にも輸入品にも適用されるということでしょうか。なら、輸入品も輸入検査の際にチェックされているはずです。

(2)の基準は(1)よりも厳しい基準とみなしていいでしょう。妻の言う「出荷一週間前から抗生物質なしの飼料」もこのマニュアルに記載されている内容です。しかし、これはHACCP導入の前提となるマニュアルという位置づけで、国内生産の際に必ず守らなければいけないという記述がどうも見つかりません。

じゃ、結局、スーパーで売っている国産鶏肉が(2)の基準で生産されているのかどうか?って、そんなのわからないよ〜

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2013.10.31

『MBA経営戦略』


ずいぶんかっちょいいタイトルの本。グロービスの『MBAマネジメント・ブック』の姉妹書です。

MBAマネジメントブックなど、いろんなビジネス教科書に登場するフレームワークを、実際のビジネスの実例に当てはめて観察することがメインです。コンサルタントの後講釈という胡散臭さいっぱいの話ではあるものの、ビジネス教科書の漠然とした現実味の無いビジネスフレームワークを肌感覚で味わうにはこういう実例対比は必要だと感じました。

本書の書き方を見ていると、大企業の経営企画部員や管理職あたりをターゲットとしているようです。そして大企業病や日本の会社組織風土をかなり痛烈に批判しています。この批判たるや、著者が欧米カブレやろ!と突っ込みたくなるくらいです。

ビジネス本のフレームワークを見かけて、それって具体的に何に使うの?と思ったときに引っ張りだして参考にするのによさそうな本でした。


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2013.10.29

結局のところ、みずほ銀行の暴力団融資の何が悪かったのか

9月27日に金融庁がみずほ銀行に業務改善命令を出し、みずほ銀行は10月28日に第三者委員会報告書を受けて金融庁に業務改善計画を提出しました。

この一連の出来事は、世間では「みずほ暴力団融資事件」として認識されています。

実は、この事件の「何が悪かったのか」が今ひとつわからずに悶々としています。ということで、なるべく一次ソースを元に僕なりの整理をしようと思います。

一次ソースとして選んだ資料は次の通り

(1) 株式会社みずほ銀行に対する行政処分について - 2013年9月27日 金融庁
(2) 経済産業省への報告書提出について - 2013年10月16日 株式会社オリエントコーポレーション
(3) 提携ローン業務適正化に関する特別調査委員会の調査報告書の受領について - 2013年10月28日 株式会社みずほ銀行
(4) 業務改善計画の提出について - 2013年10月28日 株式会社みずほ銀行

まず、(1)の行政処分の文書を読んでみます。それほど長い文章ではないので、全文引用します。

株式会社みずほ銀行に対する行政処分について

1.株式会社みずほ銀行については、検査結果(25年6月結果通知)を受け、銀行法第24条第1項に基づき報告を求めたところ、
(1)提携ローン(注)において、多数の反社会的勢力との取引が存在することを把握してから2年以上も反社会的勢力との取引の防止・解消のための抜本的な対応を行っていなかったこと、
(2)反社会的勢力との取引が多数存在するという情報も担当役員止まりとなっていること、等
経営管理態勢、内部管理態勢、法令等遵守態勢に重大な問題点が認めら れた。
(注)顧客からの申込みを受けた信販会社が審査・承諾し、信販会社による保証を条件に金融機関が当該顧客に対して資金を貸付けるローンをいう。
2.このため、本日、同行に対し、銀行法第26条第1項の規定に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。

(1)反社会的勢力と決別し、健全かつ適切な業務運営を確保するため、以下の観点から法令等遵守態勢及び経営管理態勢を抜本的に見直し、充実・強化すること。
a)問題発生時以降現在に至るまでの経営責任の所在の明確化
b)問題事案への取組み及び法令等遵守に取り組む経営姿勢の明確化
c)問題事案の再発防止のための実効性ある具体的方策の策定及び全行的な法令等遵守態勢の確立(役職員の法令等遵守意識の醸成・徹底を含む)
d)内部監査機能の充実・強化
(2)上記(1)に係る業務改善計画を平成25年10月28日(月)ま でに提出し、当局の受理後直ちに実行すること。
(3)上記(2)の実行後、当該改善計画の実施完了までの間、平成25 年11月を初回として同年12月までは毎月末、以降、3ヶ月毎の 進捗及び実施状況を翌月15日までに報告すること。

この発表文書がツッコミどころ満載と感じています。

・1.(1)にある「抜本的な対応」とは何を指すのか。 … (a)
・1.後段「法令遵守態勢」は具体的に何の法令に違反したのか
・2.(1) a)〜d) 「問題発生」「問題事案」とは何を指すのか … (b)
が、この文章では読み取れません。(a)と(b)は、あとで他のソースから確認していきます。

この金融庁処分を受け、オリエントコーポレーション(オリコ)が割賦販売法に基づき経済産業省に報告した資料が(2)です。これは、あくまでもオリコが経済産業省に報告したものですので、この内容が暴対法や割販法の要求を満たしているとは限らないことを念頭に(しかし、オリコは法要求を満たしていると思っていることを念頭に)読む必要があります。

これによると、
・2011年1月から数度、オリコがみずほから反社契約情報を受け取った
・みずほから受け取った反社情報に合致する顧客については「新たな契約」を行なわない … (c)
・反社の既存契約147件は代位弁済を実施 … (d)
・暴排条項のない既存契約は解消できない … (e)
といったことが書かれています。
ここで、暴排条項(暴力団関係者なら契約を解除できる旨を契約文面に入れておく)や反社データベースの充実を行なうと締めくくっています。

このオリコの報告書で気になった点を中心に、(3)の調査報告書と(4)の業務改善計画を読んでいきたいと思います。(なお、調査報告書は132ページもある長いものですが、私は「(要約版)」だけしか読んでいませんのでご了承ください。)

(c) 新たな契約は行なわない態勢になったのか?

調査報告書7ページに「入口チェック」「事後チェック」という言葉が出てきます。そして「当面は事後チェックのみを行なう」書かれており、オリコ報告書(c)に書かれている新たな契約を行なわないという項目と矛盾します。結局、オリコはみずほから受け取った反社情報を新規契約の際に用いているのかどうか、資料から読み取れません。ここは、残念なところです。2010年7月にみずほコンプラ担当役員稟議で「入口反社チェック導入の可否検討」(報告書7ページ)と書かれているので、みずほ側決裁とは別にオリコ側である程度動いていたということでしょうか。ただし調査報告書12ページに第2回目の事後チェックのことが書いてあり、「今回(第2回)は、新規及び追加の増加件数が報告の対象とされた」「3月末現在で○件を新規に反社認定」という記述があり、オリコによる入口チェック(c)はみずほにとっての要求を完全に満たす精度ではなかったことがうかがえます。(ただし新規に反社認定というのは前回連携時に反社として登録がなかった顧客に対する契約後に新たにみずほ側で反社認定されているものが含まれている可能性があります。)

(d) 代位弁済すればいいという話なのか

オリコ報告書2/5ページに「みずほ銀行より受け入れた反社情報については、147件の契約について、みずほ銀行からの依頼に基づき代位弁済を実施しております。」とあります。これにより、債権者がみずほではなくオリコに移ります。債務者である反社構成員個人にとっては、どうでもいいような権利の移管に見えるのだと思います。このうち反社を理由に一括請求のアクションを行なったのは1件のみです。(オリコ報告書2/5ページ(イ))

改善計画1.(3)事後反社チェックのレベルアップに「オリコ社からの代位弁済までの期間を短縮し」とあり、この文書でもアクションとして求めるのはあくまでも「代位弁済」であり、反社構成員個人の期限の利益を喪失させる行動などは盛り込んでいません。代位弁済は債権をグループ内で付け替えているだけで、グループ全体で見ると何の解決にもなっていないと思うのです。

(e) 暴排条項のない既存契約は解消できないのか

ここで気になるのは、契約の相手方が暴排条例に定める反社会的勢力であると判明したときに既存契約を解除できるのかということです。オリコ報告書3/5ページ(ウ)に「暴力団排除条項の導入が無かった債権については、暴力団排除条項に基づく取引の解消はできないため」とあります。オリコは契約解除できないという解釈です。みずほについては(d)のところで述べた通りみずほとしての契約さえ解除してしまえばオリコでの取引は関与しないスタンスをとっているため、この件に関する解釈はありません。

都のQ&Aを見ても「表明確約書」(契約書の暴排条項に相当)の徴収努力が記載されているだけで、義務化はされていません。契約の相手方が反社会的勢力であることを理由に契約解除できる法令もどうやらないようです。となると、暴排条項がない契約については事後に反社と判明しても解除できないと解釈できます。反社との契約が違法であると法令で示されていたらしたがって、社内外で契約相手方が反社であることを指摘されても、どうしようもないという状態です。(このへんは民放90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」に該当するかどうかの判断もありそうです。実はみんな判例を待ってるんじゃないの?という気もします。)

マスコミなどで「みずほは暴力団との取引解消をしなかった」と書かれているのを目にしましたが「取引解消」は現状では無理なのですね。

なお、契約書に「暴排条例」を入れておいて、新規契約に関する反社関与のリスクを減らす対策が非常に大事であることは今回勉強になりました。

(b) で、結局みずほは何が悪かったのか?

業務改善命令に書かれている「問題発生」「問題事案」って何?をもう一度考えてみようと思います。

・オリコは従前より自前で「要注意情報」の登録を行ない、該当与信を禁止していた。
・オリコは「要注意情報」を反社定義にした。
・みずほで「事後チェック」実施。該当があることが判明。 …(イ)
・オリコはみずほの反社情報を「要注意情報」として受け入れるようになった。
・オリコは入口チェックを実施。
・オリコの入口チェックにも関わらず新規に反社契約があることが事後チェックで判明 …(ロ)
・みずほは(イ)(ロ)をコンプラ委員会・取締役会に報告するも反応なし …(ハ)
・(ロ)(ハ)を何度か繰り返し、やはり反応なく、そのうち報告しなくなる。 …(ニ)

これについては、9月27日業務改善命令時点では(ハ)の事象が事実認定されておらず、いきなり(二)の「報告していない」が前提になってしまっている事実がのちの報道で明らかになっています。なので、業務改善命令で「問題」とされたのは「反社契約があるにもかかわらずコンプラ委員会・取締役会に報告しない組織態勢だということになります。しかしのちの調べでコンプラ委員会・取締役会に報告されていることが判明しましたので、問題は「報告されているにもかかわらず対処しなかったこと」という後講釈が妥当なところではないでしょうか。

先の(e)で述べた事情もあり、「対処」=「契約解除」といかないところが歯がゆいところですが、「放ったらかし」はまずいでしょ、ということですね。

(a) 抜本的な対応とは?

これも先の(e)で述べたとおり、「解消のための抜本的な対応」については調査報告書にも業務改善計画にも書かれていません。(実は業務改善計画1.(3)に代位弁済が抜本対策であることが書かれているのですが、上記(d)のとおり抜本対策であるとは思えません。)
業務改善計画に書かれている協議の抜本対策は1.(4)にある「キャプティブローン金銭消費貸借契約への暴力団排除条項の導入の検討」です。しかし導入ではなく「導入の検討」として、やや弱腰な表現にとどまっています。暴排条項はそんなにたやすく入れれるものではないようですね。

広義の抜本対策は(ハ)のコンプラ委員会・取締役会での放置ですね。経営課題への取組みにきちんと軽重を付けるのは難しのですが、反社に関しては今までよりはるかに重く扱いますよという宣言が業務改善計画の2.に延々と書かれています。

…最後に…金融庁検査は適正に行なわれたのか?

今回の件で必要以上に大騒ぎになったのは、9月27日に金融庁が「担当役員止まり」と発表していたないようが、実は(ハ)コンプラ委員会・取締役会に報告されていたということがあとからわかったということです。これについては調査報告書15ページ「11 金融庁の入検へのみずほ銀行の対応状況」に事象が書かれており、20ページ「(8)金融庁への報告に際して確認不足・不徹底な対応があったこと」で原因分析されています。ここで疑問なのが、どのようなシチュエーションで金融庁がみずほ行員にこの件を質問して回答を求めたかということです。質問が、「資料を確認して○日後に報告するように」というものだったのか、即答を要求するものだったのかがわかりません。調査報告書15ページを読んだ印象では、金融庁検査官が「Cさん、この件、取締役会へ報告してます?」と質問してCさんが「(ここ最近は)コンプラ役員に報告しているだけです」と回答したというのが想像できます。金融庁検査官もコンプラ役員への稟議書などは入手しているので、いちおうC証言のウラは取っているのですが、業務改善命令を出すほどの事案について取締役会議事録などを調べなかったのが不思議でなりません。



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2013.03.03

WEDGEが刷り直しになった

定期購読している雑誌「WEDGE」。毎月20日頃に到着する月刊誌で、3月号は2月20日頃に到着。もう読み終わっています。

ところが、3月2日に再び3月号が届きました。同封されている手紙には「記事の数値や内容に誤りがあることが判明し…」とあります。

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単純な誤りだと次号で「お詫びと訂正」を出せばいいと思いますので、かなり深刻な誤りだったのでしょう。いったい、どんな訂正が入ったんだろう?と気になりますが、訂正前の本は捨ててしまったので、比較することができません。かえって、気になります。

WEDGE 3月号


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