河井案里『天国と地獄 選挙と金、 逮捕と裁判の本当の話』
広島じゅうの地方議会を巻き込んだ河井夫妻大規模贈賄事件の首謀者の一人、妻の河井案里による事件への反省を書いたエッセイです。
正直、このエッセイを出版した目的が見いだせません。
まず、表紙。政治の裏を告発するにしても、司法取引を暴こうとするにも、あまりにも舐めた表紙です。不思議なうさぎの絵。しかも、本書内の挿絵にも不思議なうさぎの絵はたくさん出てきます。良識の府である参議院の議員を務めた著者として、あまりに不似合いです。「私はバカなので、何もわからないのに逮捕起訴するなんて!」っていうメッセージに読めてしまいます。
そして、陣中見舞いや自民党のやり方など、法律がよくわからないけどみんなやっているとおりに自分もやってみたら、なぜだか逮捕されちゃった体で書かれています。こちらも、議員に立候補するなら知っておくか、行為の適法性を確認する手段を設けるべきところが、できていなかったことになります。こういう場合、何を怠ってしまったのかを反省し、整理して著作に落とすべきだとは思うのですが、それができていないことに不満が残ります。(まあ、別にミスをしてしまった取引先の報告書を読むのではないので、目くじらを立てるほどのことではないのですが。)
なんとなく、モヤモヤとしてしまう著作でした。
さて、来週は参議院選挙です。逮捕されていなかったら、著者は今回も現職として立候補していたんだろうなぁ。