『男と女ー恋愛の落とし前ー』
狂気的な恋愛を描く唯川恵による、女性へのインタビュー集である。恋愛に嵌ってしまう女の本音を聞き出し、唯川恵が辛辣なコメントで追うという構成。男がいかにだらしなく、女がいかに愚かかをインタビューにより描こうとしているのだろう。
唯川恵は後悔する恋愛を求めている気がする。しかし誰も後悔のための恋愛は求めていない。今その時の感情と、よかったと思える日のために時間を過ごしているのだ、唯川恵がコメントでこき下ろしているのは恋愛の一面だという点を忘れてはならない。
登場するインタビュイーである女性たちの人生は、波瀾万丈である。それでも、やはりどこか現実的である。小説のような破滅は望んでいない。現実世界は現実的だと。
この現実的なインタビューを土台に、次なる唯川恵の恋愛小説はどのように道を外してくるか。